MOVING PICTURES(ムービング・ピクチャーズ) | ラッシュ

ニャン田(にゃんだ)ヒロシの迷言集

MOVING PICTURESジャケット今回ご紹介する名盤は1981年にリリースされたラッシュの「MOVING PICTURES」です。

ラッシュはカナダ出身のバンドで、ゲディー・リー(ベース、ヴォーカル、キーボード、ペダルベース)、アレックス・ライフソン(エレクトリックギター、アコースティックギター)、ニール・パート(ドラムス、パーカッション)の3人によって構成されています。今ではプログレッシヴ・ロックのバンドとして認識されていますが、デビュー当初は「レッド・ツェッペリンの典型的フォロワー」としてしか評論家達からは評価されず、平凡なハード・ロックのバンドとしてしか見なされていませんでした。

そのラッシュがプログレッシヴ・ロック色を前面に押し出し始めるのが、6枚目のオリジナル・アルバムである「A FAREWELL TO KINGS」あたりからであります。それでもアメリカでの評価は一向に上がらず8枚目のオリジナル・アルバム「PERMANENT WAVES」は、シングル・リリースをすることを目標に(日本のミュージック・シーンではよくわからない感覚であります)制作され、シングル「THE SPIRIT OF RADIO」がリリースされます。このような試行錯誤のうえ、キャッチーでありながらテクニカルで複雑なリズム・アレンジを施されたラッシュ特有のサウンドが確立されるとともに、バンドも評価されるようになるのであります。そしてその後リリースされ、ラッシュの代表作となる作品が本作「MOVING PICTURES」なのであります。

1曲目「TOM SAWYER」でシンセサイザーのサウンドを織り交ぜながら、このアルバムはシンプルに幕を開けます。ところが曲も中盤まで差し掛かるとそこはやはりラッシュ、変拍子が登場します。そしてその変拍子にギター・ソロ重ねられるですが、ギター・ソロの間ギターによるバッキングは鳴りを潜めます。きっと「ライヴで再現できない曲は基本的に作らない」というラッシュのコンセプトによるものなのでしょう。安易にオーバー・ダビングという手法に頼らないところがラッシュらしさであります。4曲目の「LIMELIGHT」はイントロから変拍子ですが比較的キャッチーに仕上げられているので、プログレッシヴ・ロックにさほど興味のない方でも耳になじみやすいのではないかと思われます。

アナログ盤でいうとB面にあたる5曲目からの流れのほうはA面でのキャッチーな雰囲気が見られなくなります。特にB面1曲目にあたる5曲目の「THE CAMERA EYE」はプログレッシヴ・ロック特有の大作主義的な楽曲で、その曲調はめまぐるしく変化し、組曲的な雰囲気を覗かせてくれます。曲の長さも10分を越えるものとなっております。6曲目の「WITCH HUNT(PART III OF FEAR)(魔女狩り)」は大作主義的ではないのですが、やはり大衆的なポップさをまったく持ち合わせておりません。最後を飾る7曲目の「VITAL SIGNS」は、ループ・シンセサイザーが印象的な楽曲でありますが、なぜかザ・ポリスの匂いを感じ取ってしまうのは筆者だけでしょうか。

ラッシュというバンドの曲作りは非常に変わっていて、セッションなどによる曲作りは行わず、まずは譜面によって楽曲の完成度を高めます。前述したコンセプト「ライヴで再現できない曲は基本的に作らない」のもと、その譜面の曲が再現できるまで練習を重ねていくというスタイルで楽曲は制作され、そのため物凄い練習量を誇るバンドでもあるようです。

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AVALON(アヴァロン) | ロキシー・ミュジック

ニャン田(にゃんだ)ヒロシの迷言集

AVALONジャケット今回ご紹介する名盤は1982年にリリースされたロキシー・ミュジックの「AVALON」です。

ロキシー・ミュージックがデビューした1972年の7月という時期は、デヴィッド・ボウイの「THE RISE AND FALL OF ZIGGY STARDUST AND THE SPIDERS FROM MARS」が発売された直後でもあり、ロキシー・ミュージックもグラム・ロックの一派とみなされていたらしいです。ファースト・アルバム「ROXY MUSIC」ではリミックスやマッシュアップといった技法を先取りし、当時としてはかなり斬新な内容のアルバムでありました。当時爆発的人気を見せていた、他のグラム・ロッカーとはサウンド的に何の共通点もなく、よい意味でかなり異質なグループと批評家達からは評価されていたようです。

デビュー当時には、今では名プロデューサーとして名高いブライアン・イーノも在籍していたロキシー・ミュージックでありますが、ブライアン・イーノは1973年に脱退してしまいます。当時どちらかというとバンドの中心人物はブライアン・イーノであったため、プロダクションはバンドの中心にブライアン・フェリーを置くことで方向転換を迫られたわけです。その間に激しいメンバー・チェンジ、バンドの解散、再結成などを経て、最終的にたどり着いたのがこの「AVALON」なのであります。「AVALON」というのは、ケルト神話でアーサー王が死後に赴いたとされる伝説の極楽島のことだそうで、ワールド・ツアーのあとにあっさり解散をすることなどから、行き着くべきところにたどり着いた感をメンバーも感じたのではないでしょうか。

この「AVALON」はロキシー・ミュージックの最後のオリジナル・アルバムにして最高傑作として名高いのですが、この「AVALON」というか再結成後のロキシー・ミュージックというのは固定メンバーは3人のみとなっていたのです。もはやバンドというよりかはユニットに近い状態になっておりまして、ドラムスやベースはスタジオ・ミュージシャンを起用するという状態になっていました。だからでしょうか、その洗練されたサウンドは大人の余裕すら感じられます。また、ブライアン・フェリーの歌声からは、彼の持つ美学やダンディズムが滲み出ています。

1曲目の「MORE THAN THIS」は日本でもCMに起用されるなど、比較的キャッチーなナンバーです。2曲目はまるでトーキング・ヘッズのようにコードが進行しない「THE SPACE BETWEEN」、3曲目の表題曲は「AVALON」は一転して美しくコードが展開されるスローなナンバーです。5曲目の「WHILE MY HEART IS STILL BEATING」はブライアン・フェリーが持つ美学の集大成とも思われる楽曲です。6曲目「THE MAIN THING」はアナログ盤ではB面1曲目に当たるためか、仕切りなおしのテクノ・サウンド風に仕上げられています。8曲目「TO TURN YOU ON」は終焉の始まりといった感のある楽曲です。9曲目「TRUE TO LIFE」は映画のエンディングにたどり着いたかのような、なにか幸福感に満ち溢れた奮起を感じます。ラスト・ナンバーであり10曲目の「TARA」は短いインストゥルメンタルの楽曲ですが、ロキシー・ミュージックの終焉をお知らせするそんな役割が感じられます。

全体を通して透明感のあるクリアなサウンド・メイクが施されていて、とても心地のよい仕上がりとなっています。このアルバムが結果的に最後のアルバムとなってしまったからでしょうか、この作品には1つ事を成し遂げた達成感みたいなものが終盤に向けて感じられます。ちょっと勘繰りすぎかもしれませんが…。

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RAMONES(ラモーンズの激情) | ラモーンズ

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RAMONES(ラモーンズの激情)ジャケット今回ご紹介する名盤は1976年にリリースされたラモーンズの「RAMONES(ラモーンズの激情)」です。

ラモーンズといえばパンク・ロックの元祖、そういう意味も含めてラモーンズのデビュー作である本作は非常に価値あるアルバムとされています。中身はといえば、ほとんどギターソロもないような時間にして3分にも満たないスリー・コードの楽曲がずらりと並んでいます。サウンド的にも厚みがあるわけではなく、どちらかといえば薄っぺらい印象を持つ作品ですが、60年代初期のステレオ・サウンドを再現しようとした結果生まれたサウンドのようです。そのサウンドは母国のアメリカでよりもイギリスで評価され、イギリスのパンク・ロック・ムーヴメントの立役者となってしまったのです。

そもそもパンク・ロックというのは、それまでのロックからブルース的要素を排除してよりシンプルに仕上げられたロックン・ロールで、そのためかメロディはポップな雰囲気が感じられます。イギリスではセックス・ピストルズがパンク・ロック・ムーヴメントに火をつけたのですが、そのころイギリスの輸入盤チャートのトップを突っ走っていたのがこの「RAMONES(ラモーンズの激情)」なのです。非常にシンプルなロックは、若者たちの間で「これならちょっと楽器を練習すればできるじゃん」とばかりに広がりを見せたのです。事実、ラモーンズもテクニック的にはこれで精一杯、セックス・ピストルズに至っては、演奏能力に長けていたがためにグレン・マトロックが脱退するなど、テクニック的側面はあまり重視されないのもパンク・ロックの特徴であるのです。

なんといってもこのアルバムを代表する楽曲が1曲目の「BLITZKRIEG BOP」です。「Hey Ho Let's Go」はもはやパンクの合言葉であるといってもいいくらいのフレーズであります。5曲目の「I WANNA BE YOUR BOYFRIEND」はエルヴィス・コステロ風というか、エルヴィス・コステロのデビューより本作のリリースのほうが早いので、少なからずエルヴィス・コステロに影響を与えたのかと思われるナンバーです。また、11曲目の「53rd & 3rd」では誰かはわからないのですが、途中でジョーイではないヴォーカルが入ってくるのですがそれがまたかっこいいのであります。

それにしてもモズライトを腰の下まで下げて演奏するスタイルもまた個性的で、モズライトを使用するロック・バンド自体なかなかお目にかかることはできません。モズライトといえばベンチャーズや若大将、日本でかつてブームを巻き起こしたグループ・サウンズあたりしかイメージがわいてこないのが正直なところです。また、ラモーンズトイバンド名は、かつてポール・マッカートニーがポール・ラモーンと名乗っていたことに由来するのですが、メンバー全員がラモーン姓を名乗っているのもなんか芸人チックで、ちょっと笑えてしまいます。彼らのファッションもそうですが、これらのスタイルを1996年の解散まで貫き通していたのはロック・バンドとしてかっこいいところでもあります。

2001年にはヴォーカルのジョーイがリンパ腺ガンにより49年という短い生涯を閉じるわけですが、2003年にはトリビュート・アルバム「WE'RE A HAPPY FAMILY」が発売されレッド・ホット・チリ・ペッパーズ、U2、キッス、メタリカなどの大物バンドらが参加、ラモーンズが後世に残した影響力には驚かされるばかりです。

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EXILE ON MAIN ST.(メイン・ストリートのならず者) | ザ・ローリング・ストーンズ

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EXILE ON MAIN ST.(メイン・ストリートのならず者)ジャケット今回ご紹介する名盤は1971年にリリースされた、ザ・ローリング・ストーンズの「Exile on Main St.(メイン・ストリートのならず者)」です。

このアルバムは言わずと知れたザ・ローリング・ストーンズの代表作であり、当時2枚組みであったLP盤に彼らの魅力がたっぷり詰まった作品であります。このアルバムの制作前、アメリカのツアーから帰ってきた彼らを待ち受けていたのは、イギリスの高率課税でした。税金逃れのためミック・ジャガー、キース・リチャーズ、ビル・ワイマンの3人はフランスへ移住、このアルバムの作品の大半はキース・リチャーズの自宅の地下室でレコーディングされたものらしいです。

この当時、ザ・ローリング・ストーンズのメンバーはヘロイン中毒であったらしく、本作のレコーディング・セッションも薬物や酒をじゃんじゃん持ち込んで、相当なハイ・テンションでセッションが行われたことは想像に難しくありません(それがよい影響を及ぼしたとは思いませんが…)。なんとすごいのは、このアルバムのほとんどの曲は「LET IT BLEED」「STICKY FINGERS」のセッション前にすでに書かれいたらしく、この曲の代表曲「TUMBLING DICE(ダイスをころがせ)」は前作「STICKY FINGERS」のアウトテイクを改変したナンバーとのことです。これだけの秀逸な多くのナンバーを未発表のままにしておくところがザ・ローリング・ストーンズ恐るべしといったところです。彼らなりのアルバム・コンセプトによるものなのでしょうか。

この「Exile on Main St.(メイン・ストリートのならず者)」発売当初はあまり批評家のウケがよくなかったとのことです。前作に比べるとかなりラフでルーズで荒削りな印象がありますが、この雰囲気が今となってはザ・ローリング・ストーンズの魅力そのものであると思われます。また、本作はアメリカのルーツ音楽の影響を受けているような楽曲が多数見受けられます。このあたりが批評家にとってあまりよろしくない印象を与えてしまった感がありますが、これはバンドにとっての転換期のひとつに過ぎず、後々の作品でこのアルバムへの評価をよい方向へ変えてしまうあたりが、さすがザ・ローリング・ストーンズといったところです。

それにしても本作は、LP2枚組みの作品でありますがまったくその長さを感じさせることなく最後まで聴き終えてしまいます。LP2枚組みとはいってもトータルで67分の作品であり、CD時代の現代では1枚でも70分を超える退屈なアルバムが多数存在するなか、アルバム1枚あたり30分台から40分台で仕上げてくれていた60年代70年代はよい時代であったなぁと痛感する今日この頃です。

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OK COMPUTER(OK コンピューター) | レディオヘッド

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OK COMPUTERジャケット今回ご紹介する名盤は1997年にリリースされた、レディオヘッドの「OK COMPUTER」です。

この「OK COMPUTER」というアルバム・タイトル「コンピューターはOK」とコンピューターを肯定的に捉えたイメージを持ちがちですが、実際には「OKを出すコンピューター」という意味らしく逆にコンピューターに対して疑問を呈しているというニュアンスらしいです。内容的にはコマーシャルなものではなく、むしろ大衆に理解されない内容のように思われながら発売直後の評価は高く、結果的にはイギリスで初めてのチャート初登場1位を獲得、アメリカでも初登場21位にチャート・イン、レディオヘッド初めての世界的なヒット作となったのでした。

全体を通しての印象は、やはりなんといってもトム・ヨークのスローな歌声にあります。トム・ヨークの歌声は、いかにも絶望的な世の中の不条理をナイーブに唄いあげています。イギリスの中産階級に批判的であり、この無関心な世界になんとも悲しげに表現しているように思えます。それでいながら、その向こう側にある希望的なものを感じさせる独特の歌声でもあります。そしてこのトム・ヨークの歌声に、時に空間的であり、また時に攻撃的であり、さらにハーモニクスを駆使したりと表情豊かなギターがよく絡み合い、独特な世界観を生み出しています。

楽曲も実に秀逸なものが多く、シングル・カットされた「PARANOID ANDROID」「KARMA POLICE」「NO SURPRISES」を筆頭に、オープニングの「AIRBAG」、ボブ・ディランの曲「SUBTERRANEAN HOMESICK BLUES」をもじった「SUBTERRANEAN HOMESICK ALIEN」、バズ・ラーマン監督作品「ロミオ+ジュリエット」のエンドロール用に書かれた「EXIT MUSIC(FOR A FILM)」、ギターのアルペジオが美しい「LET DOWN」など名曲揃いです。「KARMA POLICE」はザ・ビートルズの、「NO SURPRISES」はヴェルヴェット・アンダーグラウンドの「VELVET UNDERGROUND & NICO」のオープニング曲「SUNDAY MORNING(日曜の朝)」の匂いがプンプンしてきます。レディオヘッドも様々なアーティストの影響を受け、それを消化してオリジナルなサウンドを構築しているのですね。レディオヘッドのバンド名も、トーキング・ヘッズの楽曲のタイトルに由来しているそうです。

ちなみにレミオロメンの藤巻亮太(現在ソロ活動中)もレディオヘッドのファンで、レミオロメンの「レ」の字はレディオヘッドの「レ」からとったと公言しています。レミオロメンという言葉にはなんら意味はないそうです。

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