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氷の世界 | 井上陽水

氷の世界ジャケット今回ご紹介する名盤は1973年にリリースされた井上陽水の「氷の世界」です。

この「氷の世界」は当時としては珍しく、ロンドンでレコーディングされたアルバムであり、また、日本レコード史上初めてLP(アルバム)としてミリオン・セールスを記録した作品であります。当時の日本ではレコードといえばEP(シングル)が主流で、アルバムが評価されるという風潮はあまりありませんでした。CDが発売された1982年までにアルバムで100万枚以上の販売を記録したのはたったの4作品しかありませんでした(ちなみにそのうちの一つにこのブログでもレビューしているYMOのソリッド・ステイト・サヴァイヴァーであります)。また、参加ミュージシャンも非常に豪華で高中正義、細野晴臣、深町純、松岡直也、林立夫、村上“ポンタ”秀一らが参加しており、アレンジでは当時の井上陽水の作品のほとんどの作品の編曲を手がけていた星勝をメインにスローリング・ストーンズの「悲しみのアンジー」のストリングス・アレンジを手がけたニック・ハリソンもアレンジャーとして参加しています。また、ソング・ライティングにおいても小椋佳が歌詞を提供していたり、忌野清志郎との共作したナンバーも2曲収録されています。

名盤というのは、得てしてそういうものなのですが、このアルバムも例外ではなくリスナーに息をつく暇を与えてくれません。また、1曲目のインパクトが強いという点も名盤と呼ばれる作品に共通している要素かと思うのですが、この「氷の世界」の1曲目である「あかずの踏切り」においても、井上陽水=フォーク・ソングという概念を見事に覆すほどの衝撃があります。もはや歌詞もメロディーも完全にロックと呼べるものであります。歌詞においては世の中の不条理を開くことのない踏切になぞらえた感があり、それを星勝が見事なまでにロック的なリフにより攻撃的なサウンドに仕上げています。元々、ザ・モップスへの提供曲ということもあり、星勝もきっと自分の音楽観を思いっきりぶつけたのかもしれません。

「氷の世界」はさすが100万枚以上のセールスを記録しただけあって、名曲だらけであります。レコードでいうところのA面3曲目である「帰れない二人」は忌野清志郎との共作で、忌野清志郎が持っているガラスのような繊細さがにじみ出ています。また、B面1曲目の「心もよう」はこのアルバムからの先行シングルで、その前にシングルで発売されヒットした「夢の中へ」で築いた地位を確固たるものにした作品です。そのシングル「心もよう」のB面に収録されたのが先ほど紹介した「帰れない二人」であり、井上陽水本人は、「帰れない二人」をA面にしたかったようです。時代的には「心もよう」をA面に持ってきたのは、正解であったかもしれません。

そして何といっても井上陽水の代表作である、A面5曲目の「氷の世界」を語らないわけにはいきません。アルバムの表題曲になっているのですが、シングル・カットしなかったのは大正解です。この時代に「氷の世界」という曲で勝負するのには難解すぎます。解釈が色々されているようですが、作詞した本人はそんなにメッセージをこの歌詞に込めていたわけではないようです。この辺りが井上陽水の魅力ですね。若者の破壊願望を表現したという解釈に対しては、みんなこんなこと考えていたら逆に怖いと本人は感じていたようです。単なる反抗期的な歌詞だとインタビューで答えていましたが、こんな歌詞を書けるのは井上陽水だけではないのでしょうか。

井上陽水を語るときに欠かせないのがその声だと筆者は思っています。表現が正しいかわかりませんが、井上陽水の声は何か脳に引っ掛かるんですよね。そして独特な世界観を持っている日本人が誇っていいミュージシャンの一人だと思います。

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ABRAXAS(天の守護神) | サンタナ

ABRAXAS(天の守護神)3年近く放置してしまいましたが、今回ご紹介する名盤は1970年にリリースされたサンタナの「ABRAXAS(天の守護神)」です。

きっとほとんどの方がラテン・ロックといえばサンタナの名前が真っ先に頭に思い浮かべるでしょう。そのラテン・ロックの急先鋒サンタナの作品の中にあって、最もラテン・ロック呼ばれるにふさわしい作品がこの「ABRAXAS(天の守護神)」なのではないかと思われます。しかもこの作品はサンタナにとって2枚目のアルバムでありながら、全米1位を獲得したアルバムであり、ラテン・ロックの草分け的作品であることは間違いありません。

このアルバムの中では特に有名な楽曲は何といっても「ブラック・マジック・ウーマン」です。フリートウッド・マックのカヴァーなのですが、ブルース・ロックにサンタナ独特のラテンというスパイスで味付けをし、原曲とはかなり異なる仕上がりになっています。当時シングルで全米4位を記録した大ヒットナンバーで、今でもサンタナの代表曲として君臨してるのです。アルバムでは、ジプシー・クイーンとメドレーになっていて、アルバムでは、この2曲のメドレーがトラック・ナンバー2としてクレジットされています。この2曲、メドレーになっているのですが別々の日にレコーディングされています。

続いてシングルで発売されたのがアルバム3曲目の「OYE COMO VA(僕のリズムを聞いとくれ)」(誰がこんな邦題をつけるんだかという感じですが)も全米13位とこれまたヒットするのであります。この曲はカルロス・サンタナがリスペクトしていた、ラテン音楽の巨匠ティト・プエンテの作品で、そのラテン音楽にロックを見事なまでに融合させたナンバーでこの曲もまた、サンタナを代表するナンバーであります。歌詞非常にシンプルなスペイン語の歌詞が時折繰り返されるだけで、限りなくインストゥルメンタル・ナンバーに近い作品です。

この「ABRAXAS(天の守護神)」という作品は、クレジットされている9曲中半分以上を占める5曲が純粋なインストゥルメンタル・ナンバーです。その中でも1曲目の「SINGING WINDS,CRYING BEASTS(風は歌い、野獣は叫ぶ)」は、この傑作の導入にふさわしく、これから始まる物語のイントロダクション的な、ワクワク、ドキドキ感がたまらないナンバーです。また、この作品においては唯一カルロス・サンタナが書き下ろした7曲目の「SAMBA PA TI(君に捧げるサンバ)」も名曲で、サンバと聞くとリオのカーニバルみたいなものを連想されるかもしれませんが、この曲は非常に耳に優しいインストゥルメンタル・ナンバーに仕上がっていて、個人的には大好きなナンバーの一つです。

今年(2017年)に来日公演を行う予定ですが、その昔「TAKANAKA SANTANA SUPER LIVE」という公演が横浜スタジアムが開かれ、それを観に行ったことがあります。高中正義とカルロス・サンタナがYAMAHA・SGというギターで競演していたのをよく覚えております。その当時、高中正義やカルロス・サンタナの他にもカシオペアの野呂一生などがYAMAHA・SGを使用しており、ギター小僧の間で大ブームとなっておりました。

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