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RETURN TO FOREVER(リターン・トゥ・フォーエヴァー) | チック・コリア

ニャン田(にゃんだ)ヒロシの迷言集

RETURN TO FOREVERジャケット今回ご紹介する名盤は1972年にリリースされたチック・コリアの「RETURN TO FOREVER」です。

本作はチック・コリア名義になっていますが実質はリターン・トゥ・フォーエヴァーというバンドのデビュー作になります。バンドのメンバーは キーボードにチック・コリア、ベースに当時スタン・ゲッツのバンドなどで活動していたスタンリー・クラーク、ソプラノ・サックスおよびフルートにジョー・ファレル、ドラムスおよびパーカッションにブラジル出身のアイアート・モレイラ、ヴォーカルおよびパーカッションにフローラ・プリムというメンバーで構成されています。このメンバーで1973年にはセカンド・アルバム「LIGHT AS A FEATHER」をリリースしています。

リターン・トゥ・フォーエヴァーというバンドは幾度かのメンバー・チェンジを経るのですが、大別して本作のメンバー構成の第1期、ジョー・ファレル、アイアート・モレイラドラムス、フローラ・プリムが脱退し、その後ドラムスにスティーヴ・ガッド、ギターにアール・クルーらが短期間で参加しましたが結局はドラムスにレニー・ホワイト、ギターにアル・ディ・メオラ、パーカッションにミンゴ・ルイスで落ち着く第2期、第3期はドラムスにジェリー・ブラウン、ヴォーカル、キーボードにチック・コリアの妻であるゲイル・モラン、第1期のメンバーであったジョー・ファレルが参加しますが1977年に解散します。1982年にアル・ディ・メオラ在籍時のメンバーにより期間限定で再結成、2011年にはギタリストにフランク・ギャンバレ、ヴァイオリニストのジャン=リュック・ポンティが参加し再々結成を果たします。

また、音楽の色合いもメンバーによって異なり本作「RETURN TO FOREVER」を発表している第1期はラテン音楽の影響が強く、ギターを加えた第2期はロック色が強くなります。第3期はよりホーン・セクションも加わりよりファンキーな方向に向かいます。本作「RETURN TO FOREVER」は比較的アコースティックな色合いが濃く、メロディアスな親しみやすい曲想で心地のよい楽園志向のフュージョン・サウンド(この時代にフュージョンと呼ばれていたかは不明)に仕上げられています。ジャズ系のアルバムとしては異例の大ヒットを記録し、1972年度スイングジャーナル誌ジャズ・ディスク大賞金賞にも選ばれました。

本作の収録曲は4曲のみなのでざっくりと全曲紹介させていただきます。1曲目で表題曲の「RETURN TO FOREVER」はインプロヴィゼイション的要素が強いながらも幻想的なアンサンブルが特徴のナンバーです。2曲目の「CRYSTAL SILENCE」はチック・コリアとジョー・ファレルのソプラノ・サックスのみのナンバーですが透明感のある美しい響きを奏でるバラードです。3曲目の「WHAT GAME SHALL WE PLAY TODAY」はヴォーカル・メインのボサ・ノヴァ・ナンバーでポップに仕上げられています。アナログB面にあたる4曲目の「SOMETIME AGO-LA FIESTA」は23分超の壮大な楽曲です。イントロダクション的なピアノ・ソロとベース・ソロから始まるラテン・テイストやスパニッシュ・テイストが融合された組曲となっており、15分27秒あたりで「SOMETIME AGO」から「LA FIESTA」へと楽曲が移行します。

マイルス・デイヴィスの1969年にリリースされた「IN A SILENT WAY」や1970年にリリースされた「BITCHES BREW」といった作品でキーボードを弾き、エレクトリック・ジャズの黎明期を担ったチック・コリアが出した答えは、1970年代のジャズ界におけるフュージョン現象の先駆的な作品であり、今もなお名盤としてその名を残しています。

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TEN | パール・ジャム

ニャン田(にゃんだ)ヒロシの迷言集

TENジャケット今回ご紹介する名盤は1991年にリリースされたパール・ジャムの「TEN」です。

パール・ジャムといえば、ニルヴァーナ、サウンド・ガーデンとともにアメリカ西海岸シアトルを出身としたグランジ・ロックの代表格であります。グランジ・ロックとは、ポスト・パンクをルーツとして位置づけられているカテゴリーでありますが、パール・ジャムは意外にもニール・ヤングに影響を受けていると公言しております。それ以外にもザ・フーやザ・クラッシュなどの曲をライヴで度々演奏しているようです。日本盤のみではありますが本作にもザ・ビートルズの「I'VE GOT A FEELING」がボーナス・トラックとして収録されているなど、ほとんどのミュージシャンがそうであるように影響を受けたアーティストは多岐に渡るようです。

本作はビルボードで2位というチャートを記録しているのですが、始めから商業的に成功していたわけではありません。本ブログでも取り上げているニルヴァーナの「NEVERMIND」が爆発的に売れたことにより、同じシアトル出身のパール・ジャムにも注目が集まるようになり、なんと1年がかりで全米2位まで登り詰めているのであります。逆に言えばインパクトがありカート・コバーンというカリスマが存在するニルヴァーナの陰に隠れてしまっていたのかもしれません。実際のところ、このアルバムがリリースされた当時は単なる焼き直しのクラシック・ロックと批評をされていたようです。確かにニルヴァーナのようなパンキッシュな攻撃性はなく、比較的オーソドックスなサウンドが持ち味かもしれません。

そんなパール・ジャムでありますが、結局のところニルヴァーナとともに時代を代表するカリスマに持ち上げられてしまいます。ニルヴァーナはそのことがカート・コバーンに影を落としてしまい破滅の方向に向かいましたが、パール・ジャムは見事にリスナーの期待に応え、生き残ることに成功していまます。そのデビュー作である本作ですが、グランジというよりハード・ロックに近いサウンドに乗せられた歌詞のテーマは非常に重く、近親相姦、連続殺人、いじめ、虐待、拳銃による自殺などかなり絶望的な内容のストーリーがリアルに展開されます。絶望をコンセプトにアルバムが制作されているのかもしれません。

まず、特筆すべき楽曲はオープニングの「ONCE」でありますが、そのミディアム・テンポのハードなナンバーはアルバムの先頭を飾るに相応しい楽曲に仕上げられています。2曲目の「EVEN FLOW」はホームレスをテーマにした楽曲でこちらもマストなナンバーです。3曲目の「ALIVE」は、性的に誘う母親に悩み結局1曲目「ONCE」での連続殺人に繋がります。アルバム未収録の「FOOTSTEPS」では刑務所にて懺悔の念が歌い上げられ、これらの楽曲が3部作としてひとつのストーリーとなっています。5曲目「BLACK」はパール・ジャムを代表する名曲で、失恋から来る絶望を歌った美しいバラードです。6曲目の「JEREMY」は家庭で虐待されたうえに学校でもいじめられ、教室で銃によって自殺してしまう少年のストーリーをミディアム・テンポのロック・ナンバーとして仕上げています。

歌詞の内容はご紹介したように非常に重いのですがそこはやっぱり英語のよいところ、意味がわからなくても1枚どっぷりとはまることの出来る、そんなロック・アルバムに仕上げられており、70年代のハード・ロックに陶酔した世代にも受け入れられやすいサウンドなのではないでしょうか。メンバーがジェネレーションXということもあり、ちょうどその世代である筆者の耳にも馴染みやすい1枚でした。

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A LONG VACATION(ロング・バケイション) | 大滝詠一

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A LONG VACATION(ロング・バケイション)ジャケット今回ご紹介する名盤は1981年にリリースされた大滝詠一の「A LONG VACATION」です。

邦楽の名盤を語るうえで絶対にはずせない1枚といえばやはりこれっ、「ロンバケ」ですね。このアルバムがヒットしている頃レコード屋さんに出向くと、本当にいたるところにこのアルバムのポスターが貼られていたように記憶しています。そもそも大滝詠一という人はテレビに出てこないし、正直言いますとその頃は誰?って感じだったのですが、このアルバム・ジャケットはとても印象的で心惹かれるものがありました。アメリカン・ポップスを大滝詠一というフィルターを通して作り上げたこのアルバムに、この当時いったい何人の人が魅了されたことでしょう。

大滝詠一のプロとしての音楽活動は、当ブログでも紹介しているはっぴいえんどから始まります。とても同じ人が歌っているとは思えないテンションの違いは、やはり曲の作り方にあったのだと思います。それまで大滝詠一の曲作りはバンドの演奏に合わせてメロディを作り上げていたので、自分のキーとは合っていなかったらしく、このアルバムで初めて自分のキーで曲作りを行ったらしいです。それまでは、はっぴいえんど、ナイアガラ時代も含めて楽器に合わせて曲を作り上げていたらしいです。

本作の参加アーティストなのですが、4曲目の「Pap-Pi-Doo-Bi-Doo-Ba物語(ストーリー)」以外の作詞は松本隆、ギターには鈴木茂、ベースには細野晴臣とはっぴいえんどの面々が勢揃いしています。その他にもドラムスには林立夫、なぜかストリングスに松任谷正隆とティン・パン・アレーまで勢揃いしています。それにしても細野晴臣の名盤絡み率には驚かされます。そしてアレンジャーは多羅尾伴内とクレジットされていますが、これは大滝詠一の別名です。プロデュースは大瀧詠一とクレジットされていますが、大滝詠一、大瀧詠一、多羅尾伴内とどういうわけか名前を使い分けています。

このアルバムを代表する楽曲はなんといっても1曲目の「君は天然色」です。2010年にもCMソングとして起用されているので、大滝詠一を知らない若い世代の人も、この楽曲には聞き覚えがあるという人も多いのではないでしょうか。その他にも、行ったこともないのに想像で書いてしまった爽やかな3曲目の「カナリア諸島にて」、その他にもロックン・ロール・スピリッツ溢れる5曲目の「我が心のピンボール」、メロウなナンバー6曲目(アナログ盤B面1曲目)の「雨のウェンズディ」や7曲目(アナログ盤B面3曲目)「スピーチ・バルーン」、シングル・カットされた8曲目(アナログ盤B面4曲目)「恋するカレン」など名曲だらけなのであります。

最後を飾るのが太田裕美に提供した楽曲のセルフ・カヴァー「さらばシベリア鉄道」なのですが、この曲に限ってなぜかアメリカン・ポップスの香りがせず、他の楽曲と趣が異なります。しかも再発版のCDにはこの曲が含まれていないものがあり、この楽曲の立ち位置が非常に謎です。

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THIS YEAR'S MODEL(ディス・イヤーズ・モデル) | エルヴィス・コステロ&ジ・アトラクションズ

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THIS YEAR'S MODELジャケット今回ご紹介する名盤は1978年にリリースされたエルヴィス・コステロ&ジ・アトラクションズの「THIS YEAR'S MODEL」です。

本作はエルヴィス・コステロのセカンド・アルバムであり、バック・バンドであるジ・アトラクションズを結成してからは初のアルバムとなります。デビュー・アルバム「MY AIM IS TRUE」でバックを務めていたのが、当時クローヴァーと名乗っていたのちにヒューイ・ルイス&ザ・ニュースとなるバンドであります。しかも当時このデビュー・アルバムは日本では発売されず、本作「THIS YEAR'S MODEL」が日本でリリースされた初めてのアルバムということになります。

エルヴィス・コステロも楽曲で日本で馴染みのあるものといえば、1999年4月から2003年3月までフジテレビの「情報プレゼンター とくダネ!」のオープニング・テーマとして使用されていた「VERONICA」、映画「ノッティングヒルの恋人」の恋人で使用された「SHE」、チャーリー・チャプリンのカヴァー曲で明石家さんまと木村拓哉が共演したドラマ「空から降る一億の星」のエンディング・テーマ「SMILE」と、エルヴィス・コステロの名前は知らなくとも曲を聞いたことがある方は多いのではないでしょうか。また、Mr.Childrenの桜井和寿も1995年のシングル「シーソーゲーム~勇敢な恋の歌~」で「パクった」と公言しているエルヴィス・コステロでありますが、そういえば声や歌い方が桜井和寿と似ているように感じるのは私だけでしょうか。

エルヴィス・コステロといえば、黒縁メガネをかけたそのルックスから想像がつかないほどに尖ったパンキッシュなサウンドを披露してくれるのですが、メロディはかなりポップなセンスを持っており、メロディ・メイカーとしての才能の豊かさも感じさせてくれます。大衆に媚びを売ることなく、それでいて常に商業的にも成果を収めており、そのミュージシャンとしてのキャリアはまさに理想的といわざるを得ません。エルヴィス・コステロが登場した当時、「エルヴィスっていったらプレスリーだよね」と思っていたのですが、なんとこの芸名のファースト・ネームはエルヴィス・プレスリーに由来するそうであります。

その名前とルックスから多少ふざけた感のあるエルヴィス・コステロでありますが、アルバムの内容はいたってまじめ(当たり前?)でありまして、オープニング・ナンバー「NO ACTION」は疾走感溢れる鋭いロック・ナンバーに仕上げられており、聴くものの心をいきなり鷲掴みにします。2曲目で表題曲の「THIS YEAR'S MODEL」3曲目の「THE BEAT」はミディアム・テンポのいかにもエルヴィス・コステロらしいナンバーが続き、4曲目の「PUMP IT UP」ではイントロのベース・リフから踊りだしたくなるようなナンバーと展開していき、スローなナンバー5曲目の「LITTLE TRIGGERS」ではメロディ・メイカーとしての才能が遺憾なく発揮されております。というような感じでアルバム全体を通してエルヴィス・コステロ・ワールドが炸裂しております。

13曲目の「RADIO RADIO」かっこいいなぁと思っていたら、これ本国イギリスでは独立シングルとしてリリースされたボーナス・トラックなんですね。私の所有している盤には6曲のボーナス・トラックが収録されているのですが、シングル「RADIO RADIO」B面の「BIG TEARS」も収められていて、こちらはザ・クラッシュのミック・ジョーンズのギターがフィーチャーされているようです。ボーナス・トラックなんて不要というのが持論なのですが、この2曲はちょっと得した感がありました。

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AVALON(アヴァロン) | ロキシー・ミュジック

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AVALONジャケット今回ご紹介する名盤は1982年にリリースされたロキシー・ミュジックの「AVALON」です。

ロキシー・ミュージックがデビューした1972年の7月という時期は、デヴィッド・ボウイの「THE RISE AND FALL OF ZIGGY STARDUST AND THE SPIDERS FROM MARS」が発売された直後でもあり、ロキシー・ミュージックもグラム・ロックの一派とみなされていたらしいです。ファースト・アルバム「ROXY MUSIC」ではリミックスやマッシュアップといった技法を先取りし、当時としてはかなり斬新な内容のアルバムでありました。当時爆発的人気を見せていた、他のグラム・ロッカーとはサウンド的に何の共通点もなく、よい意味でかなり異質なグループと批評家達からは評価されていたようです。

デビュー当時には、今では名プロデューサーとして名高いブライアン・イーノも在籍していたロキシー・ミュージックでありますが、ブライアン・イーノは1973年に脱退してしまいます。当時どちらかというとバンドの中心人物はブライアン・イーノであったため、プロダクションはバンドの中心にブライアン・フェリーを置くことで方向転換を迫られたわけです。その間に激しいメンバー・チェンジ、バンドの解散、再結成などを経て、最終的にたどり着いたのがこの「AVALON」なのであります。「AVALON」というのは、ケルト神話でアーサー王が死後に赴いたとされる伝説の極楽島のことだそうで、ワールド・ツアーのあとにあっさり解散をすることなどから、行き着くべきところにたどり着いた感をメンバーも感じたのではないでしょうか。

この「AVALON」はロキシー・ミュージックの最後のオリジナル・アルバムにして最高傑作として名高いのですが、この「AVALON」というか再結成後のロキシー・ミュージックというのは固定メンバーは3人のみとなっていたのです。もはやバンドというよりかはユニットに近い状態になっておりまして、ドラムスやベースはスタジオ・ミュージシャンを起用するという状態になっていました。だからでしょうか、その洗練されたサウンドは大人の余裕すら感じられます。また、ブライアン・フェリーの歌声からは、彼の持つ美学やダンディズムが滲み出ています。

1曲目の「MORE THAN THIS」は日本でもCMに起用されるなど、比較的キャッチーなナンバーです。2曲目はまるでトーキング・ヘッズのようにコードが進行しない「THE SPACE BETWEEN」、3曲目の表題曲は「AVALON」は一転して美しくコードが展開されるスローなナンバーです。5曲目の「WHILE MY HEART IS STILL BEATING」はブライアン・フェリーが持つ美学の集大成とも思われる楽曲です。6曲目「THE MAIN THING」はアナログ盤ではB面1曲目に当たるためか、仕切りなおしのテクノ・サウンド風に仕上げられています。8曲目「TO TURN YOU ON」は終焉の始まりといった感のある楽曲です。9曲目「TRUE TO LIFE」は映画のエンディングにたどり着いたかのような、なにか幸福感に満ち溢れた奮起を感じます。ラスト・ナンバーであり10曲目の「TARA」は短いインストゥルメンタルの楽曲ですが、ロキシー・ミュージックの終焉をお知らせするそんな役割が感じられます。

全体を通して透明感のあるクリアなサウンド・メイクが施されていて、とても心地のよい仕上がりとなっています。このアルバムが結果的に最後のアルバムとなってしまったからでしょうか、この作品には1つ事を成し遂げた達成感みたいなものが終盤に向けて感じられます。ちょっと勘繰りすぎかもしれませんが…。

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HEAD HUNTERS(ヘッド・ハンターズ) | ハービー・ハンコック

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HEAD HUNTERSジャケット今回ご紹介する名盤は1973年にリリースされたハービー・ハンコックの「HEAD HUNTERS」です。

本作はハービー・ハンコックのエレクトリック・ジャズ時代を代表するアルバムであり、それまでのサウンドにファンクの要素を取り入れることにより新たなるファン層を獲得し、商業的にも大きな成功を収めた作品であります。ただし、それまでハービー・ハンコックを支えてきたファン層からは、この実験的なサウンドを良しとしない方々が一部ではいたらしく賛否両論ありましたが、この作品が後のジャズ・ファンクやジャズ・フュージョンに大きな影響を与えたことは間違いはなく、歴史的にみても名盤と呼ばれるに相応しい価値のある1枚であります。

ハービー・ハンコックがジャズ・ベーシストのバスター・ウィリアムスの勧めで創価学会に入信していたのが、このアルバムがリリースされた前年の1972年です。そして、夢の中で日蓮上人に「自分の思う通りに進みなさい」とのお告げを受け、一念発起して制作されたのがこのアルバムだと思われます。本作以前から、ハービー・ハンコックはエレクトリックサウンドを取り入れ、アフリカの民族音楽、ポリリズムなどに傾倒していたのですが、前述のお告げによって何か吹っ切れたハービー・ハンコックが、以前から興味を示していたエレクトリック・ピアノやシンセサイザーを中心としたサウンドを確立したものと思われます。

フュージョン・ジャズ系のアルバムで気になるのが参加ミュージシャンなのですが、本作では、ソプラノ&テナー・サクソフォーン、サクセロ、バス・クラリネット、アルト・フルートにベニー・モウピン、エレクトリック・ベース、マリンブラにポール・ジャクソン、パーカッションにはビル・サマーズ、ドラムスにはカシオペアのプロデュースやリー・リトナーなどのL.A.フュージョンでお馴染みのハーヴィー・メイソンが名前を連ねています。特にハーヴィー・メイソンとポール・ジャクソンのリズム隊は聴きどころ満載です。

1曲目の「CHAMELEON」はシンセサイザーのリフから始まるとてもファンク・ナンバーです。本作がジャズ・ファン以外にも受けがよかったのが頷けるナンバーで、非常に聴きやすく仕上がっています。2曲目の「WATERMELON MAN」は1966年にリリースされたハービー・ハンコックの初のリーダー・アルバム「TAKIN' OFF」の代表的なブルース・ナンバーを大胆にエレクトリック・ジャズにリメイクしたものであります。3曲目は「SLY」曲調がめまぐるしく変わるナンバーですが、その都度リズム隊が、メリハリを持たせてくれる聴き応えのあるナンバーです。タイトルの「SLY」はスライ・ストーンから取っているのでしょうか。4曲目のとても落ち着きのあるスローなナンバー「VEIN MELTER」でこのアルバムは締めくくられます。

ハービー・ハンコックは1963~68年にマイルス・デイヴィス・クインテットのメンバーとして活躍しており、そのキャリアは順風満帆のように見えます。そして、マイルス・デイヴィス・クインテットを脱退後、自身のセクステットを結成します。ところが、このセクステット時代は経済的にもかなり苦境に立たされていたようです。そしてセクステットを解散させ、心機一転リリースしたアルバム「HEAD HUNTERS」が、ジャズとしては異例のヒット作となるのでした。

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BACK IN BLACK(バック・イン・ブラック) | AC/DC

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BACK IN BLACKジャケット今回ご紹介する名盤は1980年にリリースされたAC/DCの「BACK IN BLACK」です。

「偉大なるマンネリズム」本作のCDの帯には、このように記述されています。非常に無骨なミディアム・テンポのリフものハード・ロックが中心で、それはデビュー当時からまったく変わることはありません。楽曲のみならず、バンドの中心的存在であるギタリストのアンガス・ヤングのライヴのスタイルにいたっては、ブレザー、半ズボン、ハイソックスにランドセルを背負ったスクール・ボーイ・スタイル、しかもギターは一貫してギブソン・SGとこちらもデビュー以来変化することがありません。ここまで変化をしないバンドでありながら、ファンは減るどころかむしろ増え続けているらしいです。これほどの長きに渡り人気を維持しているハード・ロック・バンドは珍しいです。

前作「HIGHWAY TO HELL(地獄のハイウェイ)」でアメリカにおいてプラチナ・ディスクを獲得したAC/DCは、アメリカでの地位を確固たるものにしていました。ところが翌年、ヴォーカリストのボン・スコットが車中で死亡しているのが発見されたのです。かなり泥酔していたようで、死因は睡眠中、嘔吐物を喉に詰まらせての窒息死だったそうです。メンバーはバンドを解散することも考えたそうですが活動を継続することを選択し、ヴォーカリストにブライアン・ジョンソンを迎え入れます。そして発表したアルバムがこの「BACK IN BLACK」なのであります。そしてブライアン・ジョンソンもまた、およそハード・ロックとは縁がないと思われるハンチング帽スタイルが定番となっています。

ブライアン・ジョンソンが加入して初めてリリースされた本作は売れに売れ、なんでもこのレビュー執筆の時点でその売り上げは5,000万枚となり、マイケル・ジャクソンの「Thriller」に次いで売れたモンスター・アルバムとなってしまったのです。ロック・バンドに限定していえば世界一売れたアルバムということになります。それでもビルボードでは最高4位とトップにはなっていないのですが、131週チャートインのロングセラーを記録したようです。日本人が認識しているより、地元オーストラリア、アメリカ、ヨーロッパでの人気は相当なもののようです。

このアルバムなにやら不吉な鐘の音から幕を開けます。そしてややスロー・テンポ気味にアンガス・ヤングのアルペジオ・プレイが静かに鳴り響き、マルコム・ヤングのギターが絶妙に絡み1曲目の「HELLS BELLS(地獄の鐘の音)」が始まります。AC/DCというとひたすらリフで押し倒してくるロックンロールをイメージしていたのですが、なかなか深みのあるオープニングです。6曲目の表題曲でもある「BACK IN BLACK」はブリティッシュな雰囲気を持つリフを持つナンバーです。7曲目の「YOU SHOOK ME ALL NIGHT LONG(狂った夜)」は一転してアメリカンなハード・ロック・ナンバーでこの曲もなかなか人気のあるようです。

AC/DCは非常に多くのミュージシャンに敬愛されいていて、海外の大物ではキース・リチャーズ、ピート・タウンゼント、スティーヴン・タイラー、オジー・オズボーン、そして日本でも山下達郎、奥田民生などがファンであることを公言しているようです。

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ひこうき雲 | 荒井由実

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ひこうき雲ジャケット今回ご紹介する名盤は1973年にリリースされた荒井由実の「ひこうき雲」です。

本作はユーミンこと荒井由実の記念すべきファースト・アルバムであります。それまで演歌を含む歌謡曲といわゆる四畳半フォーク(雑誌の対談で批判の意味も含めてユーミン初めてそう呼んだという説もあります)だけがヒット・チャートを独占していた時代に、都会的なエッセンスを持ったユーミンの世界観は、日本のミュージック・シーンに新たな価値観を生み出しました。日本のミュージック・シーンには、ユーミン以前とユーミン以後という時代があるとも言われるほどで、そのような意味も含めてこの「ひこうき雲」というアルバムは歴史的な価値もあるわけです。

そしてなんといってもこのアルバムで重要な役割を果たすのが、細野晴臣、鈴木茂、林立夫、松任谷正隆らによるキャラメル・ママ(のちのティン・パン・アレー)の全面参加であります。この時代の日本のミュージック・シーンにおいて、バックで演奏するミュージシャンを固定しトータル・サウンドなアルバムを目指すという手法自体あまりお目にかかれなかったかもしれません。また、全曲において編曲が荒井由実、キャラメル・ママとクレジットされているので、この名盤の制作に彼らの存在が欠かせなかったのは言うまでもありません。

ユーミンが音楽創作活動は、2012年にリリースされたベスト・アルバム「日本の恋と、ユーミンと。」にも収録されている、イギリスのロック・バンドであるプロコル・ハルムのデビュー曲「A WHITER SHADE OF PALE(青い影)」がきっかけになったようです。1曲目の「ひこうき雲」を聴いてみると確かに「A WHITER SHADE OF PALE(青い影)」の香りがしてきます。この美しいメロディを持つ楽曲に死をモチーフにした歌詞を乗せてくるのが、ユーミン・クオリティという感じがします。「誰も気づかず ただひとり あの子は昇っていく」などフレーズから聴き手によって様々に解釈されるようですが、小学生時代の友人の死がきっかけとなっているのは確かなようです。

アルバム全編通して名曲揃いで、特に私のお気に入りは当時のアナログ盤でいうところのB面1曲目、CDでは6曲目の「ベルベット・イースター」です。完全に私のツボを刺激する名曲です。見事にはまりました。その他にもその歌詞の内容が見事に曲として表現されている2曲目の「曇り空」、転調が繰り返されるユーミンらしい楽曲「きっと言える」、コンサートでは「私の一番好きな曲です」と前置きされる8曲目の「雨の街を」、かまやつひろしプロデュースでデビュー・シングルとして発売したものの300枚しか売れなかった「返事はいらない」(アルバムに収録されているのは別ヴァージョンです)などなど粒揃いの名曲がずらりと並んでいるのです。

本当にこのアルバムは日本のミュージック・シーンを塗り替えたアルバムです。もしユーミンがデビューしていなければニュー・ミュージックというジャンルは確立されていなかったかもしれません。また、松田聖子などユーミンの恩恵にあやかった歌手やミュージシャンの行く末も違っていたかもしれません。

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FOREVER CHANGES(フォーエヴァー・チェンジズ) | ラヴ

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FOREVER CHANGESジャケット今回ご紹介する名盤は1967年にリリースされたラヴの「FOREVER CHANGES」です。

日本ではあまり馴染みのないバンドでありますが、ラヴというバンドはアメリカはロス・アンゼルスのフォーク・ロック・バンドでありまして、ヴォーカル&ギタリストのアーサー・リーを中心に結成されたバンドであります。元々はザ・グラス・ルーツという名前で活動していたのでありますが、同名のバンドが存在していたため、バンド名をラヴと改名したらしいです。それにしてもラヴというバンド名はなんというかストレートすぎて、ちょっと気恥ずかしくなるバンド名ですよね。多分、愛してるの愛という意味ではなくて時代背景からもラヴ&ピースのラヴなんでしょうね。

このアルバム発売当初はまったく評価されず、セールス的にもいまひとつだったのですが、後々評価されることとなりローリング・ストーン誌が2003年に選出した「オールタイム・グレイテスト・アルバム500」(毎度申し上げますが偏りが大いに感じられるランキング)ではなんと40位にランクされているのであります。プロデューサーは当初ニール・ヤングを予定していたのですが、諸事情によりザ・ドアーズ等のプロデュースで有名なブルース・ボトニックとアーサー・リーの共同プロデュースという形で制作されたようです。そのためか、サイケデリック・ロック色の色合いが濃い内容に仕上がっています。

全体的な内容はというと、フォーク、サイケデリック、スパニッシュなどが見事なまでに融合され、アフリカ系アメリカ人が作るサウンドでありながらブルースの香りがまったくしません。基本的なバンド・サウンド、そして時としてトランペット、ストリングスなどが織り交ぜられるハーモニーは、かなり綿密なアレンジが施され、発売年が同じことなどからザ・ビートルズの「Sgt. Pepper's Lonely Hearts Club Band」と比較されるほどの完成度です。なぜこれほどのアルバムがアメリカのミュージック・シーンの中に埋もれてしまったのか、まったくをもって不思議であります。

まず特筆すべき楽曲は1曲目の「ALONE AGAIN OR」であります。トランペットやストリングスが効果的に使われている、スパニッシュの香り漂う名曲です。2曲目は「A HOUSE IS NO A MOTEL」はアコースティック・ギターのストロークをバックにメロディを切々と歌い上げているかと思えばいきなりシャウト、そしてサイケデリックなギター・ソロが重ねられていきます。3曲目の「ANDMOREAGAIN」、5曲目の「OLD MAN」はストリングスが美しいスロー・テンポなフォーキー・サウンドでありますが、特に5曲目の「OLD MAN」は予想とは違う方向へコードが進行したりと不思議な雰囲気を持つ楽曲に仕上げられております。LPでいうとB面1曲目に当たる7曲目の「MAYBE THE PEOPLE WOULD BE THE TIMES OR BETWEEN CLARK AND HILLDALE」は1曲目の「ALONE AGAIN OR」と同じコンセプトで作られていると思われるサウンドです。

こんなに素晴らしい完成されたアルバムなのに、またおせっかいにもボーナス・トラック入りのものが販売されています。iPodとかで聴いている人はかんたんにボーナス・トラック省けるからいいですよね。私はCDで聴いているので、最後の「YOU SET THE SCENE」が終わったところであわててリモコンの停止ボタンを押しています。

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MARQUEE MOON(マーキー・ムーン) | テレヴィジョン

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MARQUEE MOONジャケット今回ご紹介する名盤は1977年にリリースされたテレヴィジョンの「MARQUEE MOON」です。

テレヴィジョンといえばニューヨーク・パンクを代表するバンドでありますが、パンク・ロックとはいっても、同じくニューヨーク・パンクのラモーンズやロンドン・パンクのセックス・ピストルズのようなひたすらスリー・コードで攻めまくるタイプではなく、楽曲ごとにその表情は様々でアレンジも緻密に作りこまれており、どちらかというとニュー・ウェイヴのイメージを持たざるを得ない独特の色合いを持つバンドであります。また、歌詞が文学的であるのも特徴で、本作「MARQUEE MOON」はメジャー・デビュー作でありながら、批評家たちなどから非常に高い評価を得るのであります。

このアルバムに収録されている曲は当時としては長いものが多く、3分代2曲、4分代1曲、5分代3曲、7分代1曲、9分代1曲の全8曲構成になっています。中でも表題曲である「MARQUEE MOON」は9分代とはいっても9分58秒とほぼ10分の長さを持つ大作となっています。パンク・ロックは比較的短い曲を機関銃的に聴かせるというイメージがありますが、この作品では1曲1曲をじっくりと聴かせようという意図を感じ、それがそれまで私が持っていたパンク・ロックの印象との相違点でもあります。また、エレクトラ・レコードとメジャーデビュー契約を交わしたのも、ザ・ドアーズが所属していたからというのが理由のようで、歌詞が文学的なのも頷けるところであります。

ヴォーカルのトム・ヴァーレインの歌い方の影響か全体的にとがった印象はありますが、他のパンク・バンドと一線を画すのがギターのアレンジにあるのではないかと思われます。基本的にツイン・ギターによるものなのですが、ベーシックな部分のバランスがといわゆる上物としてのギターのバランスが絶妙です。上物として乗っかってくるギターは基本的に単音によるフレーズが多いのですが、このギター・アレンジが意外とポップであったり、また時に美しいアルペジオであったりと非常に印象的です。ギター・ソロもしっかり作りこまれた綺麗なフレーズを奏でます。

特筆すべき楽曲はまず1曲目の「SEE NO EVIL」であります。いきなり1曲目からギター・アレンジが見事で、これはただのパンク・バンドじゃないぞといった雰囲気がすでに感じられます。2曲目の「VENUS」は比較的ポップなナンバーで、非常に美しいギター・アレンジが施されています。4曲目の表題曲「MARQUEE MOON」は先ほども触れましたが10分の大作となっており、大作とはいってもそれほどドラマティックな展開を見せるわけではありませんが、なぜか飽きがこない不思議な曲です。5曲目の「ELEVATION」は哀愁感漂うAメロからブリティッシュ・ハード・ロック的なサビに展開します。6曲目「GUIDING LIGHT」はヴェルヴェット・アンダーグラウンドを彷彿させ、ラストを飾る8曲目の「TORN CURTAIN(引き裂かれたカーテン)」は壮大なスケールの楽曲に仕上げられており、アルバム全体の締めくくりに相応しい楽曲となっております。

U2のボノも影響を受けたバンドの1つとしてテレヴィジョンを挙げています。テレヴィジョンというバンド、そしてこのアルバムがその後のロックに多大な影響を与えたことは、間違いないようです。

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ニャン田(にゃんだ)ヒロシの迷言集

HEART TO HEART(ハート・トゥ・ハート) | デイヴィッド・サンボーン

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HEART TO HEARTジャケット今回ご紹介する名盤は1978年にリリースされたデイヴィッド・サンボーンの「HEART TO HEART」です。

本作は初期の名盤として名高いアルバムであり、フュージョン系の名盤ではもはや当然の如く参加ミュージシャン顔ぶれが豪華です。ドラムスは全曲スティーヴ・ガッド、当時スティーヴ・ガッドが在籍していたスタッフからもう一人ピアノ&オルガンのリチャード・ティー、ギターのデイヴィッド・スピノザ、1曲だけですがベースのアンソニー・ジャクソンと当時若手のサックス・プレイヤーのデイヴィッド・サンボーンではありますが、錚々たるメンバーが脇を固めています。

そしてこのアルバムの特徴なのですが、プロデューサーがジョン・サイモンというお方でして、当ブログでも紹介させていただいているザ・バンドの「THE BAND」のプロデュースやその他にもジャニス・ジョプリン(ビッグ・ブラザー・アンド・ザ・ホールディング・カンパニー名義)の「CHEAP THRILL」、日本人では佐野元春の「The Barn」などをプロデュース、元々ジャズ・フュージョン系のプロデューサーではないんですね。その影響かロック、R&B、ゴスペルなどが見事なまでに融合された、ジャズ系リスナーではなくとも聴きやすい仕上がりとなっております。

デイヴィッド・サンボーンの魅力といえばなんといっても歌うように奏でるその音色にあり、そのソウルフルで「泣き」と表現される独特のサウンドはアルバム全編を通して聴くものを魅了してくれます。1曲目の「SOLO」は3分19秒という比較的短い楽曲でありますが、シンプルながらデイヴィッド・サンボーンのソロがフィーチャーされた気持ちのよい楽曲であります。2曲目「SHORT VISIT」はプロデューサー、ジョン・サイモンが書き下ろした曲を巨匠ギル・エヴァンスがアレンジ、大所帯なバンド構成でジャジーに仕上げられております。3曲目「THEME FROM "LOVE IS NOT ENOUGH"(愛のテーマ)」は小気味よいリズムが特徴のナンバーで、スティーヴ・ガッドが得意としそうなナンバーです。

LPでいうとB面に移りますがCD4曲目の「LOTUS BLOSSOM」は非常に美しいバラード・タイプの名曲であります。デイヴィッド・サンボーンのソロはもちろんのことヴィブラフォンのマイク・メイニエリ、ピアノのドン・グロルニックのソロも聴きものです。5曲目の「HEBA」はこのアルバムでは唯一デイヴィッド・サンボーンが書いた楽曲であり、ブルース色が強いアーシーな作品となっております。6曲目の「SUNRISE GOSPEL」は非常にメロウな始まりからブルージーにダイナミックさを増していく構成となっている楽曲です。ラスト・ナンバー「ANYWHERE I WANDER(果てなき旅路)」はデイヴィッド・サンボーンの「泣き」が存分に発揮されたファンにはたまらない哀愁のある楽曲となっております。

余談ではありますが、T-SQUERE(ザ・スクェア)の伊東たけしはデイヴィッド・サンボーンの影響を非常に強く受けており、確かにいわれてみれば伊東たけしが奏でるサウンドはデイヴィッド・サンボーンのそれと似た雰囲気を持っております。

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THE STONE ROSES(ザ・ストーン・ローゼズ) | ザ・ストーン・ローゼズ

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THE STONE ROSESジャケット今回ご紹介する名盤は1989年にリリースされたザ・ストーン・ローゼズの「THE STONE ROSES」です。

1989年ザ・ストーン・ローゼズは本作にて華々しくデビューを飾り、1994年にセカンドアルバムをリリースしたものの1996年には解散、たった2枚のオリジナル・アルバムを発表しただけでバンドの歴史に終止符を打ってしまいました。ところが何度かの再結成の噂を経て2011年に再結成を発表、2012年にはフジロック・フェスティバルに出演したことは記憶に新しいところであります。新しいアルバムの発表も伝えられていますが、今のところ新作はリリースされておりません。

さて、本作「THE STONE ROSES(ザ・ストーン・ローゼズ)」はロックを変えたアルバムとして名高い作品であります。NME誌の「ミュージシャンが選ぶ人生を変えた名盤100枚」で、その結果1位に輝いたのはザ・ビートルズの作品でもなく、ザ・ローリング・ストーンズの作品でもなく、本作「THE STONE ROSES(ザ・ストーン・ローゼズ)」であったのであります。元オアシスのリアム・ギャラガーに無人島に持っていくアルバムと言わしめるこの作品は、のちのブリット・ポップを中心としたイギリスのミュージック・シーンに多大な影響を与えるのであります。

ベースのリフに空間的なギターが加わり、ロング・トーンのヴォーカルが印象的なミディアム・テンポのナンバーでこの作品は幕を開け、オープニングからそのクオリティの高さを感じさせてくれます。シングルカットされた2曲目の「SHE BANGS THE DRUMS」は疾走感があり、3曲目の「WATERFALL」はギターのアルペジオ、メロディともに美しい作品に仕上がっております。4曲目の「DON'T STOP」は3曲目の「WATERFALL」を逆再生させたサイケデリックな作品です。7曲目「ELIZABETH MY DEAR」は「スカボロー・フェア」の替え歌だそうで痛烈な王室批判をしています。9曲目の「MADE OF STONE」は一番のお気に入りでザ・ローリング・ストーンズの「PAINT IT BLACK(黒く塗れ)」チックな雰囲気から美しいメロディのサビへと展開していきます。最後は「FOOLS GOLD」(ボーナス・トラック)はスライ&ザ・ファミリー・ストーンばりのファンクなナンバーで締めくくられています。

時にポップ、時にサイケデリック、時にメロウ、時にパンキッシュ、時にファンキーと様々な要素を持ち合わせながら、本作は1枚の作品としてきっちりと仕上げられています。美しさとロックのとがった部分を両方持ち合わせたそのサウンドは、まさに名盤と呼ばれるのにふさわしいものとなっており、このアルバムで人生が変わってしまったミュージシャンが多数いるのも頷けます。また、適度にポップであるためでしょうか、全体的に聴きやすさが感じられます。

このアルバム、UK/日本盤とUS盤が存在しており、どうも曲順が違うみたいです。私が所有しているのは再発版で、6曲目「MADE OF STONE」と13曲目「FOOLS GOLD」がボーナス・トラックとして収録されています。ですので、私のレビューと曲順が違う場合がありますが、そのあたりは何卒ご容赦ください。

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ハチミツ | スピッツ

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ハチミツ・ジャケット今回ご紹介する名盤は1995年にリリースされたスピッツの「ハチミツ」です。

当時、妻と伊豆方面への旅行の行きがけに沼津あたりのCD店でふと購入したのがこのアルバムとの出会いでした。すでに「ロビンソン」がヒットいていたこともあり、アルバムの内容がとても気になり購入してしまいました。結局その旅行の間、BGMはこの「ハチミツ」のみとなってしまったほど、このアルバムの内容に魅了されてしまったことをよく覚えています。特にスピッツのファンというわけではないのですが、今でもたまにCD棚から引っ張り出してきては聴いてしまう1枚となっています。

「ロビンソン」の曲のイメージと草野正宗の歌声からクリーンなトーンの楽曲で構成されているものと想像していたのですが、よい意味で裏切られました。「ロビンソン」は名曲中の名曲でありミリオン・セラーとなったわけですが、平凡なミュージシャンであれば「ロビンソン」におんぶに抱っこ的な仕上がりになってしまいがちなところですが、本作はアルバム全体を通してしっかりと作り込まれており、1曲たりとも聞き逃すことのできないほど草野正宗の非凡な才能が詰まっているのであります。

オープニング曲の「ハチミツ」から変拍子をもってくるとは、曲調はまったく異なりますがザ・ポリスの「SYNCHRONICITY」への挑戦状かと大袈裟に思ってしまう訳であり、スピッツのロック的な側面がいきなり窺えます。続く「涙がキラリ☆」は「ロビンソン」に続き先行シングルで発売され、これまたオリコン2位を記録するヒット曲となりました。4曲目の「ルナルナ」は「涙がキラリ☆」のカップリング曲であり、発売直前までどちらをA面とするか決まらなかったほどのキャッチーでポップなナンバーです。6曲目「トンガリ'95」は、スピッツという言葉はドイツ語で「とがっている」という意味していることから、メンバー曰く「スピッツのテーマソング」なのだそうです。確かにとがったロック・チューンに仕上げられております。

とにかくこのアルバムは、すべての曲がシングルになりうるといっても過言ではないほど、素晴らしい楽曲群で構成されています。上記の曲のほかにもスピッツらしいビートを持つナンバー、ロック・チューンなナンバー、バラード(意外なことに9曲目の「Y」の1曲だけなのです)などで構成にメリハリを持たせながら、アルバム全体の流れに不自然さがなくすんなり1枚聴くことができてしまいます。このあたりは笹地正徳とスピッツのプロデュース能力によるものでしょうか。

もしスピッツのアルバムを購入していなければ、スピッツについてロック・バンドという認識を持たなかったかもしれません。緻密なアレンジやサウンド、アルバムの構成など総合的に評価すると、やはりスピッツは間違いなくハイ・クオリティなロック・バンドです。

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